悲しみ
この、どうしようもない悲しみは、消えない。
原因もきっかけもわからない、あるのかどうかさえも知らない、この悲しみは。
だれかの仕業なんだろうか。だれかが、わたしに悲しみの塊を手のひらで丸めて、わたしに投げつけているんだろうか。
そんなんじゃない。
この悲しみは、わたしの心の芯からにじみでているような、なにか内側から広がり、わたしのからだを、こころを、むしばんでいくみたいなんだ。
悲しみを、じぶんのちからで、コントロールするすべはない。
一時的な、浅はかな応急処置など、なんの意味もないんだ。
悲しみは、消えたと思っても、かならずまたわたしのもとへやってくる。
たとえ、とげのはえた木の枝でふりはらおうとしたって。どんなにあがいたって。
わたしは、あなたにはかなわない。
悲しみよ。どうして、あなたはそんなに強いんだろう。
わたしは、悲しみの体現者だ。
わたしは、悲しみそのものだ。