悲しみ
この、どうしようもない悲しみは、消えない。
原因もきっかけもわからない、あるのかどうかさえも知らない、この悲しみは。
だれかの仕業なんだろうか。だれかが、わたしに悲しみの塊を手のひらで丸めて、わたしに投げつけているんだろうか。
そんなんじゃない。
この悲しみは、わたしの心の芯からにじみでているような、なにか内側から広がり、わたしのからだを、こころを、むしばんでいくみたいなんだ。
悲しみを、じぶんのちからで、コントロールするすべはない。
一時的な、浅はかな応急処置など、なんの意味もないんだ。
悲しみは、消えたと思っても、かならずまたわたしのもとへやってくる。
たとえ、とげのはえた木の枝でふりはらおうとしたって。どんなにあがいたって。
わたしは、あなたにはかなわない。
悲しみよ。どうして、あなたはそんなに強いんだろう。
わたしは、悲しみの体現者だ。
わたしは、悲しみそのものだ。
おわり
わたしはおわったんだろうか。
そもそも、はじまっていたのだろうか。
なにも感じない。感じたくない。
わからない。じぶんは誰なんだろう。
この世界は本物で、現実なのだろうか。
あの人は、本当に存在していて、昨日は、昨日あった出来事は、ほんとうにあったのだろうか。
この世界はほんとうに、動いているんだろうか。つくられた、わたしにしか見えていない世界なんじゃないか。
彼らにも、この世界は見えているんだろうか。見えているとしたら、どんな風に映っているんだろう。わたしは、彼らの世界にほんとうに存在しているんだろうか。どんな風に存在しているんだろう。
雨がふっているのは、どうしてだろう。
空が灰色なのは、どうしてだろう。ほんとうに、灰色なのかな。他の人にも、灰色に見えているのかな。
わたしの見る灰色は、ほかの人が見る灰色と、おんなじなのだろうか。
わたしは、ほんとうに存在しているんだろうか。わたしの見ているこの世界は、わたしの頭の中だけで起こっている、幻覚みたいなものなんだろうか。
わたしははじまることもなく、おわったのだろうか。
はじまらなければ、おわることもないんだろうか。
わたしは、だれなんだろう。
いのちの話
生まれてこないほうがいい命ってあるんだろうか。
それは、親に捨てられた命?絶対に治らない難病をもった命?死ぬまで絶望し続けるであろう命?
生まれないべき命ができてしまった、なかったことにしよう。つらい思いをさせるくらいなら、生まないでおこう。
そういうことだろうか。
胎児を中絶したら、その子が不幸になる可能性はゼロになるのか。はたまた、幸せになる可能性をゼロにしてしまうだけなのか。
僕らの仲間になるはずの命。
太陽を浴びて、風を感じる命。
息をして、せかいの一部になる命。
一度なかったことにしてしまったら、もう二度とかえってこない。
命は、奪うことはとても簡単だ。
だけど、取り戻すことはできないんだ。
けっして、できないんだ。
休日
みなさん。
学校に仕事に、人間関係に、世間に、他人に、振り回されすぎていないか。
都会のビル風に、雑踏に。
参ってるんじゃない。
あなたの意地はって頑張ってることって、そこまで頑張らなきゃいけないことなんだっけ。
じぶんの心のスペースをぜんぶ塗りつぶしてまでしなきゃいけないと思うんなら、やればいい。
別にそうでないんなら、やりたくないんなら、やらなきゃいいじゃない。
心に余裕がなくなって、人に寛大にいられなくなってしまうほど、忙しさにかまけている君を見ていると、わたしは悲しくなるよ。
死んだことがないからわからないけど、きっと人生は一度きりだ。死んだら、楽しいことはできない。大切な人に会えない。好きな人と抱き合えない。
一度きりの人生は、じぶんがしあわせになるために、だれかをしあわせにするために、生きたらいい。
君はどうしてそんなに苦しむんだ。
休んだらいい。逃げたらいい。
あなたの人生なんだ。
誰にも支配されちゃあいけないんだ。
しあわせのために、生きる。
ね、ただそれだけ。
息をする
息が苦しい。
このまま死んでしまうのではないか、そんな恐怖に駆られる。
なんでもないときに、このまま死んでしまえば楽になれる、とか、死にたい、とか平気で感じるけれど
息ができなくなったとき、わたしは死が恐怖に感じる。
この世界からわたしが消えても、世界はおなじようにまわりつづけるなんて、恐ろしい。
わたしの死に、気づかない人たち。
わたしの死を、なんとも思わない人たち。
こわい。死という現実が。
わたしは生きていたい。なにもできなくても、呼吸をして、世界の一部でありたい。
入院中のできごと
「月の光を浴びた女の子。」
精神病棟に入院していた頃、廊下にはいくつばっているおばあさんを倒れているのだと勘違いしたわたしは、おせっかいにも彼女が椅子に腰かけるのを手伝ってしまった。当時髪の毛を金色に染めていたわたしを見て、彼女はこう言った。
わたしの風貌を見て、世間の人が言うのは大抵、派手だとか不良だとか、そんなこと。
人は、見た目で判断して勝手に人を分析し、ジャンル分けしてしまう生き物。なぜ就活の面接でみんな髪を真っ黒にして、きっちりしたスーツで同じセリフを言うかって、つまり第一印象で全てが決まってしまうから。そういうこと。
そう。わたしは、精神病棟に入れられた金髪少女であり、社会不適合者。
だけど、おばあちゃんから見たわたしは、月の光を浴びた女の子だったわけ。
何が言いたいかって、別に何が言いたいわけでもないけれど、ひと言でいうなら、人にレッテル貼るのってバカバカしい話よねってこと。
今日はいい夢みれるかしら。